農地転用の基礎知識
ここからは農地転用の許可申請に関する基礎知識をご紹介しています。また、かわせ事務所のピンポイント解説ブログも参考になりますのでご覧ください。
農地転用とは
農地転用とは、農地を農地以外のものにすることです。この転用をする場合は農地法の許可や届出が必要です。ここでいう「農地」とは、農地法上の農地であり、耕作の目的に供される土地です。
登記されている地目が田や畑である場合はもちろん、現況が農作物の栽培を行っている土地、または農作物の栽培のための準備を行っている土地も農地として取り扱います。
無断転用をした場合
農地転用の許可を得ずに転用したり(無断転用)、許可は得たものの申請内容と異なる転用をした場合は原状回復を含めた是正指導が行われる恐れがあります。また、違反すると3年以下の拘禁刑または300万円(法人は1億円)以下の罰金に処せられる恐れがあります。
ただし、農地法の定めを知らずに転用をしてしまった場合や、無断転用をした本人がすでに死亡している場合もあります。無断転用が判明した場合は、まず農業委員会事務局へ相談する必要があります。長浜市では、事情を記載した顛末書を添付して農地転用許可申請等を行う取扱いとなる場合がありますが、必ず認められるわけではありません。
農地の種類(青地と白地)
農地転用の可否を確認する際は、まず農振法上の農用地区域に該当するかを確認し、そのうえで農地法上の農地区分を確認します。農業振興地域整備計画で農用地等として利用すべき土地に指定されている区域は、一般に青地と呼ばれます。
青地にある農地は農用地区域内農地として原則転用できず、農業以外に利用する場合は、原則として先に農振除外が必要です。農地法上の立地基準では、農地は次の5区分に分類されます。
- 農用地区域内農地
原則として転用できません - 甲種農地
市街化調整区域内にある特に良好な営農条件を備えた農地で、原則として転用できません - 第1種農地
集団的に存在する農地や土地改良事業等の対象となった農地などで、原則として転用できません - 第2種農地
市街地化が見込まれる区域等にある農地で、他の土地では転用目的を達成できないと認められる場合などに許可されます 第3種農地
市街地の区域内または市街地化の傾向が著しい区域内にある農地で、原則として転用が許可されます
青地は農振除外で可能性がある
青地は農地転用ができない土地ですが、農振除外という手続きして、青地を抜けて白地にすることができれば、農地転用できる可能性があります。
長浜市では農振除外の申出について受付期間が定められています。受付時期は年度によって変更される可能性があるため、最新の日程を農政課へ確認する必要があります。受付期間終了から農振除外まで概ね6か月程度と案内していますが、内容によってはそれ以上かかる場合もあります。
農地転用の種類と区分
農地転用には下記のように種類や申請の区分があります。農地法3条許可申請については、農地転用ではありませんが便宜上、一緒に記述しています。
農地転用の手続きの種類
- 農地転用4条許可申請
権利の設定・移転を伴わず、自己所有の農地を農地以外の用途に転用する場合 - 農地転用5条許可申請
農地を農地以外の用途に転用するため、売買による所有権移転や賃貸借・使用貸借などの権利設定・移転を伴う場合 - 農地法3条許可申請
農地を農地のままで他人へ売買、貸借
農地転用の許可と届出
- 農地転用許可申請
申請地が都市計画区域の市街化区域以外の場合 - 農地転用届出
申請地が都市計画区域の市街化区域の場合
農地転用許可申請と比べて農地転用届出は必要書類も少なく、順次受付ということもあり、簡易的ともいえる手続きです。届出になっているのは市街化区域ですから、農地を強力に保護しようとする地域ではないということです。
申請する農地が地域計画の区域内にあり、農業以外の用途へ転用する場合は、原則として農振除外や農地転用許可の手続に先立って地域計画を変更する必要があります。ただし、一時転用など事前の地域計画変更を要しない場合もあります
農地法
(農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限)第五条
農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。次項及び第四項において同じ。)にするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
(以下省略)引用元: e-Gov 法令検索
農地転用の手続きの流れ
農地転用の申請をする場合の事務手続きの流れについてご紹介しますが、一般的な農地転用についての流れとして記述しています。また、農地転用以外にも農地転用に関連する他法令の手続きが必要になる場合もあります。
- 農業委員会事務局に相談
当事務所で農地転用を受任する場合でも必ず事前に農業委員会事務局に相談をします - 申請書や添付書類の作成
申請書等や添付図面の作成をし、必要な資料を揃えます - 農業委員会事務局へ申請
申請の締切日は毎月15日(長浜市)です。4ha超える場合は近畿農政局との協議が必要です。また、申請地が3,000㎡以上の場合は県との協議・現地立会いが必要です - 審査
申請内容について審査されます。現地調査も行われます - 農業委員会総会
申請内容や現地確認結果をもとに農業委員会総会で審議されます。その後、必要な審査・手続を経て許可処分が行われます - 許可書の交付
問題が無ければ農業委員会総会の3~4日後に許可書が交付されます
農地転用の許可までの期間
農地転用の許可までの期間は、申請締切日からおおむね30日です。県との協議が必要な場合はもう少し時間を要します。なお、農地転用届出は順次受付となり、おおむね2週間ほどで結果が出ます。
農地転用4条・5条許可申請
の必要書類
下記は滋賀県長浜市の例です。農地転用はローカルルールが多いためご注意ください。一般的な農地転用4条・5条許可申請の必要書類は以下のとおりです。これらの他にもケースにより必要な書類が発生することがあります。
なお、農地法第5条許可申請は、転用に伴う権利の設定・移転の当事者による共同申請です。売買の場合は譲渡人と譲受人、賃貸借・使用貸借の場合は貸人と借人が申請者となります。一方、農地転用4条許可申請は申請地の所有者に変更はありませんので、所有者(=申請者)の単独申請の形式です。
- 農地転用4条・5条許可申請書
当事者のデータや、申請地・転用目的・転用計画などを記載します - 転用事由の詳細説明書
転用事由や目的などについて詳細にまとめた文章を記載して作成します - 登記事項証明書
申請地の登記簿謄本(全部事項証明書)です - 位置図
2,500分の1程度の縮尺で作成します - 土地利用計画図
転用後の申請地の利用計画がわかる図面を作成します - 公図の写し
公図の写しに必要事項を書き込みます - 周辺農地における営農への被害防除に関する説明書
長浜市では、従来の隣地承諾書に代わって提出する書類です。隣接農地の所有者等および自治会長に転用計画を説明し、説明日や意見の有無などを記載します。承諾や押印は求められていません - 平面図・立面図
建物の建築を伴う場合に平面図・立面図を添付します - 構造図
構造物(擁壁や排水路も含む)がある場合に必要です - 縦横断面図
申請地の高低差がわかるように寸法を入れて作成します - 資金証明書
転用計画実現の資金を有していることを証明します。通常は金融機関の残高証明書等を添付します - 工事見積書
転用計画を実現するために、必要な工事をする業者が発行する正式な工事見積書の原本です - 法人登記簿謄本または定款
申請者または第5条の当事者が法人の場合は添付します
その他必要に応じて提出する書類
- 住民票記載事項証明書
譲渡人の現住所と登記事項証明書の住所が異なる場合に添付します - 土地改良区意見書
申請地が土地改良区の地区内にある場合は手続きをして意見書をもらい、添付します - 貸借の予定書・理由書
貸駐車場や貸資材置場等、自己で造成して貸出する場合に添付します - 農地法第18条解約関係の書類(写し)
正式な賃貸借等の小作契約が設定されている場合は、事前に小作人と合意解約をします - 顛末書
無許可転用(顛末案件)の場合に添付します - 他法令の関係書類
農振除外や開発許可など他の法令が関係する場合に添付します
農地法3条許可申請
農地法第3条許可申請とは、農地を農地のままで耕作目的で売買・贈与したり、賃貸借・使用貸借などの権利を設定・移転したりする場合の手続です。農地転用4条や5条のように農地以外の使用目的として利用することではありません。よって、農地転用ではありませんが便宜上、こちらでご紹介しています。農地法3条許可申請の要件は以下のとおりです。
- 全部効率利用要件
- 農地所有適格法人要件
- 農作業常時従事要件
- 地域との調和要件
農地法3条許可申請の必要書類
以下は農地法3条許可申請の必要書類です。
- 申請書
- 別添書類
- 全部事項証明書
- 位置図
- 誓約書
- その他、農業経営や耕作状況を確認するため農業委員会が求める資料
その他必要に応じて提出する書類例
- 土地改良区申出書
- 組合員資格得喪通知書
- 住民票記載事項証明書
- 賃貸借・使用貸借契約書の写し
- 譲受人の他市町村の耕作証明書
- 農地法第18条解約関係書類
- 農地復元計画書
- 固定資産評価証明書
農地中間管理機構による農地売買
農地を売買するケースで、譲受人が認定農業者、認定就農者などの担い手や、地域計画で「農業を担う者」として位置付けられた者である場合などは、農地中間管理機構による農地売買の制度を利用できる可能性があります。
この制度では農地法第3条の許可を受けずに、農地中間管理機構を介して農地を売買することができます。ただし、対象となる農地や受け手には要件があり、所定の申請・審査が必要です。
農地を相続したとき
農地を相続した場合は、農地法第3条の許可は不要ですが、農地法第3条の3に基づき農業委員会へ届出をしなければなりません。届出は遅滞なく行う必要があり、農林水産省では相続発生日からおおむね10か月以内を目安として案内しています。
この届出は、農地法第3条の3の届出です。事前に相続登記が必要です
農地法
(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)第三条
農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。
(以下省略)引用元: e-Gov 法令検索













