告訴状作成の基礎知識


ここからは告訴状の作成に関する基礎知識をご紹介しています。また、かわせ事務所のピンポイント解説ブログも参考になりますのでご覧ください。




被害届・告訴・告発の違い


被害届は知名度も高く、ご存知の方も多いと思います。しかし、告訴や告発については、名称ぐらいしかご存じない方も少なくありません。ここでは、これらの違いについてご紹介しておきます。


  1. 被害届とは
    被害届は、捜査をするかどうかは警察署の判断に委ねられています。被害届はあくまでも犯罪があったことを報告することです
  2. 告訴とは
    告訴は、犯罪の被害者等である告訴権者が刑事訴訟法230条に基づいて行うものです。警察署へ犯罪があったことを申告し、犯人に対して処罰を求める意思表示です
  3. 告発とは
    告発は、告訴権者ではない者などが犯罪の事実を捜査機関に申告し、犯人の処罰を求める意思表示です




告訴の方法とは


告訴は、口頭でも可能ですが、犯罪事実や処罰を求める意思、事件の経緯などを正確に伝えるため、通常は告訴状を作成して提出します。以下は告訴の流れです。


  1. 証拠・記録等を準備する
    告訴では、犯罪の事実を申告し、犯人の処罰を求める意思を明確にします。被告訴人に関する情報、事件の日時・場所・経緯、関係資料や証拠などを可能な限り整理しておきましょう。犯人が特定できていない場合でも告訴することは可能です
  2. 告訴状の作成
    告訴状は少々独特な作成方法です。内容が不明確な場合には補充説明や資料の提出を求められることがあります
  3. 告訴状の提出
    告訴は検察官または司法警察員にすることができます。警察署へ提出する場合は、通常は犯罪地など事件に関係する警察署へ相談・提出しますが、司法警察員は管轄区域内の事件であるかどうかを問わず告訴を受理するものとされています


当事務所では、紛争当事者の代理人として相手方と示談交渉を行うことなど、弁護士法72条に抵触する法律事務は行うことができません。この場合は弁護士にご相談・ご依頼ください。


行政書士は警察署に対する告訴状・告発状の作成、司法書士は検察庁に対する告訴状・告発状の作成が業務です。弁護士はすべて可能ですが、報酬は非常にお高いのでよくご検討ください。


告訴状の受理

警察署では、告訴状を受理した場合は必ず捜査をしなければなりません。刑事訴訟法では、告訴人に対しては事件処理の通知を行わなければならず、告訴人からの請求があれば不起訴理由についても告知しなければならないと規定されています。


ところが、「告訴状を提出しても受理してもらえない」ということがあります。この状態は正式に受理していないが告訴状は預かるという、いわゆる「預かり」です。預かっているだけなのでこの時点では捜査は始まりません。


告訴状は、犯罪事実や告訴の趣旨、事件の経緯、証拠との関係などを整理し、告訴の要件を満たす内容にすることが重要です。行政書士や弁護士が作成した告訴状であっても必ず受理されるものではなく、受理された場合でも不起訴となることがあります。この点は十分にご理解の上、ご依頼願います。


刑事訴訟法第二百四十一条 
告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。

② 検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。


刑罰の種類

前科とは、有罪の確定裁判を受けた経歴をいいます。拘禁刑や罰金刑はもちろん、執行猶予付きの有罪判決であっても前科となります。前科と似たようなものに前歴というものがあります。前歴は、捜査機関に犯罪の嫌疑をかけられ、捜査対象となった経歴のことをいいます。不起訴の場合は、前歴は残りますが前科は付かないことになります。


親告罪とは

親告罪とは、公訴を提起するために告訴が必要とされる犯罪です。親告罪は、親告罪の告訴は、犯人を知った日から6箇月を経過したときには、これをすることができないと定められているため、6か月を過ぎると告訴期間が徒過し、告訴できません。刑法上の親告罪は以下の2通りあります。


絶対的親告罪

告訴が公訴提起の条件となる罪です。


  1. 信書開封罪
  2. 秘密漏示罪
  3. 過失傷害罪
  4. 未成年者略取・誘拐罪、これらの未遂罪
  5. 名誉毀損罪
  6. 侮辱罪
  7. 私用文書等毀棄罪
  8. 器物損壊等罪
  9. 信書隠匿罪


相対的親告罪

配偶者、直系血族、同居の親族が犯した場合は刑が免除されます。これら以外の親族が犯した場合には親告罪として取り扱われます。これらのどちらでもない場合については非親告罪です。


  1. 窃盗罪、その未遂罪
  2. 不動産侵奪罪、その未遂罪
  3. 詐欺罪、準詐欺罪、電子計算機使用詐欺罪、これらの未遂罪
  4. 背任罪、その未遂罪
  5. 恐喝罪、その未遂罪
  6. 横領罪、業務上横領罪、遺失物等横領罪


刑法
(親告罪)第二百三十二条 
この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

2 告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、外国の君主又は大統領であるときはその国の代表者がそれぞれ代わって告訴を行う。




告訴状作成が可能な罪名


生命・身体に対する代表的な罪名は以下のとおりです。

  1. 傷害罪(刑204)
    暴行その他の手段により他人の身体に傷害の結果を生じさせた罪
  2. 過失傷害罪(刑209)【親告罪】
    一般の注意義務違反により、人を傷害させた罪
  3. 重過失傷害罪(刑211)
    重大な過失により人を死傷させた罪
  4. 暴行罪(刑208)
    人に対して不法な有形力(物理力)を行使した罪


自由に対する代表的な罪名は以下のとおりです。

  1. 脅迫罪(刑222)
    相手方本人又はその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知して、人を脅迫する罪
  2. 住居侵入罪(刑130)
    正当な理由なく住居等に侵入する罪
  3. 建造物等侵入罪(刑130)
    人の看守する邸宅・建造物・艦船に侵入する罪
  4. 不退去罪(刑130)
    退去要求を受けたにもかかわらず退去しなかった罪


秘密・名誉・信用・業務に対する代表的な罪名は以下のとおりです。

  1. 侮辱罪(刑231)【親告罪】
    事実を摘示する方法によらずに、公然と人を侮辱する罪
  2. 信書開封罪(刑133)【親告罪】
    封をしてある信書を正当な理由がないのに開ける罪
  3. 信用毀損罪(刑233)
    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、他人の信用を毀損する罪
  4. 業務妨害罪(刑233)
    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて他人の業務を妨害する罪
  5. 威力業務妨害罪(刑234)
    威力を用いて他人の業務を妨害する罪
  6. 名誉毀損罪(刑230)【親告罪】
    公然と真実又は虚偽の事実を摘示して、人の名誉を毀損する罪


財産に関する代表的な罪名は以下のとおりです。

  1. 窃盗罪(刑235)【相対的親告罪】
    他人の占有する他人の財物を窃取する罪
  2. 強盗罪(刑236)
    暴行又は脅迫という手段を使い、他人の占有する他人の財物を強取すること等の罪
  3. 詐欺罪(刑246)【相対的親告罪】
    人を欺き、その結果として相手方を錯誤に陥らせた上、その占有する財物を交付させること等の罪
  4. 恐喝罪(刑249)【相対的親告罪】
    人を恐喝しその結果として相手方を畏怖させて、その占有する財物を交付させる罪
  5. 横領罪(刑252)【相対的親告罪】
    すでに自己が占有している他人の財物を横領する罪
  6. 業務上横領罪(刑253)【相対的親告罪】
    業務上のものにつき、すでに自己が占有している他人の財物を横領する罪
  7. 公用文書等毀棄罪(刑258)
    公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄する罪
  8. 私用文書等毀棄罪(刑259)【親告罪】
    権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄する罪
  9. 信書隠匿罪(刑263)【親告罪】
    他人の所有する信書を隠匿する罪
  10. 器物損壊等罪(刑261)【親告罪】
    刑法258条から260条に規定された物以外の物に対する損壊又は傷害の罪


取引の安全に対する代表的な罪名は以下のとおりです。

  1. 公文書偽造等罪(刑155)
    行使の目的で、公務所又は公務員の真正な印章・署名を使用して公務所又は公務員の作成すべき文書・図画を偽造し、あるいは偽造した公務所又は公務員の印章・署名を使用して公務所又は公務員の作成すべき文書・図画を偽造する罪
  2. 私文書偽造等罪(刑159)
    行使の目的で、他人の真正な印章・署名を利用して、権利・義務又は事実証明に関する文書・図画を偽造し、あるいは偽造した他人の印章・署名を使用して文書・図画を偽造する罪


当事務所では、受理の可能性を上げるべく、警察署へ提出する告訴状作成を承ります。なお、本業務は弁護士法に関連して一定の制限がありますので受任前に確認いたします。


なお、人に刑事または懲戒の処分を受けさせる目的で虚偽の告訴・告発その他の申告をすると、虚偽告訴等罪(刑法172条)が成立し、3月以上10年以下の拘禁刑に処せられるおそれがあります