遺言書作成の基礎知識
ここからは遺言書作成に関する基礎知識をご紹介しています。また、かわせ事務所のピンポイント解説ブログも参考になりますのでご覧ください。
遺言書の種類とは
遺言書のうち、一般的に利用される方式は以下の2つです。それぞれの形式に従って作成します。他にも遺言書の種類はありますが、(秘密証書遺言、危急時遺言)割愛します。
- 自筆証書遺言
ご自身で書き上げる形式です。法令改正があり作成しやすくなりました - 公正証書遺言
公証役場で公証人に作成してもらう形式で、手数料が必要です。事前に遺言書案を作成します
遺言書は、口頭ではなく、法に沿った形式で書面でしなければ、法的効力は発生しません
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは、財産目録を除き、本文、日付、氏名を自分で書く方式による遺言書です。本文のパソコンや代筆は不可です。遺言書の作成は単独行為が必須であり、ご夫婦での連名は不可となっています。
遺言書は法的効果は発生する文書なので、文案作成は専門家へ依頼することを推奨します。自筆証書遺言は、原則として家庭裁判所で検認という手続きをしなければなりませんが、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した場合は不要です。
自筆証書遺言の緩和策とは
自筆証書遺言の緩和策とは、遺言書に記載する財産目録の部分を、不動産登記簿謄本や通帳コピー、パソコン出力でも認めるとする制度です。
遺言書を書き直す必要がある場合でも、財産目録はそのまま添付できます。つまり、本文だけを書き直せばいいので、遺言者の負担が軽減されます。
自筆証書遺言書保管制度とは
自筆証書遺言書保管制度とは、作成した遺言書を、法務局で保管できて、さらに検認の手続きも不要となる制度です。遺言書の改ざん等を防止することもできるため、この制度は当事務所も推奨しています。
法務局における遺言書の保管等に関する法律
(趣旨)第一条
この法律は、法務局(法務局の支局及び出張所、法務局の支局の出張所並びに地方法務局及びその支局並びにこれらの出張所を含む。次条第一項において同じ。)における遺言書(民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百六十八条の自筆証書によってした遺言に係る遺言書をいう。以下同じ。)の保管及び情報の管理に関し必要な事項を定めるとともに、その遺言書の取扱いに関し特別の定めをするものとする。
(遺言書保管所)第二条
遺言書の保管に関する事務は、法務大臣の指定する法務局が、遺言書保管所としてつかさどる。
2 前項の指定は、告示してしなければならない。引用元: e-Gov 法令検索
公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、公証役場にて公証人が作成する遺言書です。公正証書遺言は検認が不要です。遺言書は公証役場でも保管しますので破棄や変造などの危険がありません。
公正証書遺言は、証人2名の立会いのもと、公証人が遺言者本人の意思であることに間違いがないか、徹底的に確認して作成し、財産の額や内容に応じて公証役場に手数料を支払います。
当事務所では、公正証書遺言を作成する場合でも、遺言者のご希望や財産関係、相続関係を整理して事前に遺言書案を作成し、公証役場とのやり取りをサポートします。
なお、公証役場では、公正証書遺言の他にも、離婚協議書を公正証書にしたり(離婚給付等契約公正証書)、金銭消費貸借契約書を公正証書で作成したりもしていただけます。
遺言書の書き方
遺言書の書き方で重要なことは、法に沿った要式で作成することです。自筆証書遺言は、財産目録を除く全文、日付、氏名を自筆し、最後に印を押さなければ効力は生じません。
日付は年月日を具体的に記載し、押印は、認印でも拇印でも構いません。遺言書を封筒に入れて封印することは法律上の要件ではありませんが、遺言書自体に押印した印鑑と同じもので封印することが多いです。
このような形式も重要ですが、遺言書の内容も重要です。言葉の選択を誤ると法的に異なる意味になってしまうこともあり、遺産の分割の方法も法の定めを理解していなければ間違ってしまう可能性もあります。
遺言書の作成は、専門家に相談することが必須だといえます。遺言書は、エンディングノートのように、自分の想いを書けばよいというものではありません。
法的に無効な遺言書を作成すると、遺言者が死亡して相続が開始になったときに、相続人たちに多大な迷惑がかかり、むしろこれにより無用なトラブルが発生する恐れがあります。
遺言事項とは
遺言事項とは、遺言の中で法的な効力がある部分をいいます。遺言事項以外は記載しても法的効力は発生しません。よく記載する項目は以下のとおりです。
- 遺産の分け方の指定
- 遺産分割方法の指定
- 遺言執行者の指定
- 廃除および取消し
- 遺贈
- 祭祀承継者の指定
最後の部分に「付言」というものも書けます。この「付言」には家族への感謝の言葉や最後のお願いなどを書きます。付言には法的効力はありません。
遺留分とは
遺留分とは、一定の相続人に認められている相続財産に対する最低限の保障であり、その割合が定められています。遺留分を侵害された場合は、遺留分侵害額請求をすることができます。遺留分は紛争になることが多く、専門家への相談をおすすめします。遺留分の割合は以下のとおりです。
- 直系尊属のみの場合
遺産の3分の1 - それ以外の場合
遺産の2分の1
兄弟姉妹に遺留分はありません
個々の遺留分を一覧にすると以下のとおりです。相続人のパターン別に記述しています。
- 相続人が配偶者のみ
【相続人】配偶者
【法定相続分】1
【遺留分割合】2分の1
【遺留分】2分の1 - 相続人が配偶者と子2人
【相続人】配偶者と子
【法定相続分】配偶者2分の1、子4分の1ずつ
【遺留分割合】配偶者2分の1、子2分の1
【遺留分】配偶者4分の1、子8分の1ずつ - 相続人が子2人
【相続人】子
【法定相続分】2分の1ずつ
【遺留分割合】2分の1
【遺留分】4分の1ずつ - 相続人が配偶者と父母2人
【相続人】配偶者と父母
【法定相続分】配偶者3分の2、父母6分の1ずつ
【遺留分割合】配偶者2分の1、父母2分の1
【遺留分】配偶者3分の1、父母12分の1ずつ - 相続人が配偶者と兄弟姉妹2人
【相続人】配偶者と兄弟姉妹
【法定相続分】配偶者4分の3、兄弟姉妹8分の1ずつ
【遺留分割合】配偶者2分の1、兄弟姉妹なし
【遺留分】配偶者2分の1、兄弟姉妹なし - 相続人が父母2人
【相続人】父母
【法定相続分】2分の1ずつ
【遺留分割合】3分の1
【遺留分】6分の1ずつ - 相続人が兄弟姉妹2人
【相続人】兄弟姉妹
【法定相続分】2分の1ずつ
【遺留分割合】なし
【遺留分】なし
遺言や贈与等によって自分の遺留分を侵害された場合には、遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)をすることができます。遺留分を侵害された人は、受遺者や受贈者等に対して金銭による支払いを請求できます。
遺留分侵害額請求は、一般的に内容証明を利用して請求します。請求しても支払ってもらえない場合は裁判所手続きを利用することも考えられ、「請求した」ことの証拠として内容証明を使うことになるからです。
遺贈とは
遺贈とは、残された遺言書に従って、遺産の一部または全部を特定の人に譲ることです。遺贈は、遺言書に記載しておかなければすることができません。
また、譲る相手が病院や地方自治体などの人(自然人)以外の団体や法人でも構いません。遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。
- 包括遺贈
遺産の内容を特定せずに全部、あるいは遺産の●分の●というように割合を指定する遺贈 - 特定遺贈
あらかじめ遺産のうちの特定のものを指定する遺贈
検認とは
検認とは、自筆証書遺言について家庭裁判所でする手続きです。ただし、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書は検認不要です。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いのもと開封しなければなりません。
検認を経ないで遺言を執行したり、封印のある遺言書を家庭裁判所以外で開封した場合は5万円以下の過料に処せられるおそれがあります。また、検認は遺言書が有効か無効かを判断するような手続きではありません。
認知症・成年被後見人の
遺言書作成
遺言書の作成は「遺言能力」が必要とされています。遺言書の作成には最低でも意思能力が必要ですが、未成年者でも15歳以上なら単独で遺言書を作成することができます。
成年被後見人が遺言書を作成しようとする場合、通常の方法で作成すると無効になります。成年被後見人だからといって遺言書を作成することはできないというわけではなく、以下の要件を満たせば有効な遺言書を作成することができます。
- 成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復したときに作成する
- 医師2名以上が立ち会う
- 立ち会った医師は、遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して署名押印する
これらの要件を満たすことは、非常に困難だといえます。よって、そのような状態になる前に、早めに遺言書を作成しておくことを推奨します。遺言の内容が変更になれば書き直せばいいのです。
遺言執行者とは
遺言執行者とは、遺言書に記載された内容を実際に実現する権限を持つ人です。遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な手続きを行います。
遺言執行者を選任しておくことで、遺贈や預貯金の解約など遺言執行に必要な手続きを円滑に進めることができます。遺言執行者の主な任務は以下のとおりです。
- 財産目録の作成
財産目録を作成して相続人に交付します - 財産の管理・執行
遺産の管理その他、遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します - 遺言による認知の手続き
遺言執行者は就職の日から10日以内に認知の届出をしなければなりません













